2006,12,11, Monday
美しくない国へ
小泉純一郎さんのやったことは、日本をアメリカ化することだった。そして、靖国神社参拝は、自分を愛国者に見せることによって、アメリカ追随を覆い隠すパフォーマンスだった。そう思いたくなる。
三浦展編『下流同盟 格差社会とファスト風土』(朝日選書・720円) この本の中に、群馬県太田市のことが出てくる。構造改革特区第一号の英語教育特区が認められた市である。この特区認定に基づいて国際的に通用する人間を育てようと設立された学校が、ぐんま国際アカデミーである。 05年に設立された「ぐんま国際アカデミー」は小中一貫教育で、国語を除いた大半の授業を外国人教師が英語で行う。ホームぺージの「平成19年度初等部児童募集要項」によると、「@入学金 市内在住者20万円、市外在住者40万円 A授業料 5万8000円/月(年間69万円6000円) ・・・中略・・・翻訳教科書代等が別途必要」ということであるから、年間100万円以上は必要だ」こういう学校(私は下品な学校だと思う)に通えば、国際的に通用する人間が育てられるかどうかという議論は別として(そう思いこんでいる親は軽薄である)、この年間100万円以上も払える家庭の子どもが通う学校のために市がまた予算を使っているのだ。 しかし一方で、太田市は郊外に大きなショッピングモールができたことで、ファスト風土化が一気にすすんでしまったと言う。ただ、全国の地方都市と違うところは、駅前の商店街のシャッターが閉まるかわりに、その商店街全体が全国有数の風俗店街に変わってしまったことだそうだ。そして、そこでは、中国、韓国、フィリピン人などが外国人が働く店が多く、さらにはきわどいサービスをしているそうだ(まさか、そのために国際的に通用する人間を育てようとしているのではあるまい)。 構造改革特区第一号に認められた英語教育特区で有名な群馬県太田市には、北関東最大級のショッピングモールがある一方、長さ700mの駅前商店街が一大ピンク街になっている。年間100万円かかる学校に通う人間とセックスで稼ぐしかない人間の二極化、そこには、日本のファスト風土化と下流社会が同時に進む将来の縮図がある。私たちは、このままファスト風土化し下流社会化する日本を指をくわえてみているしかないのか。政治もマスコミもどこかピントがはずれている。 |