2007,02,18, Sunday
「空やん」と「振ると面食らう」
お客の入りが悪いと「空やん!」と言って機嫌を損ねた指揮者。あまりにもテンポがめちゃくちゃでこの人が「振ると面食らう」と言われた指揮者・・・。そのものずばりの本が出た。
中川右介『カラヤンとフルトヴェングラー』(幻冬舎新書・840円) この二人の巨匠、比較されることも多いのだが(本ブログ2006年12月3日参照)、どちらも共通に取りざたされるのが、戦時におけるナチスとの関係である。。独裁者、権力者は音楽を利用しようとするだけでなく、音楽家も利用する。優れた音楽家ほどそうだ。 この二人がナチスに利用されたのは仕方がない。ただし、その距離感は微妙に違う。フルトヴェングラーはヒットラーを嫌い距離を置きつつもしっかりナチスに取り込まれて行った。カラヤンはナチスの党員であったが、ヒットラーには嫌われていた。フルトヴェングラーは距離を置いていたことで、カラヤンは嫌われていたことで、戦後も責任を追及されず巨匠として活躍する。しかし一方でフルトヴェングラーは策略をめぐらしてカラヤンの台頭を阻もうする。それに対してもはカラヤンも必死で抵抗する。そのためにはナチスの力も利用する。 非常事態の中で、音楽家はどう生きていくのか。考えさせられる本である。 |
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