2006,11,22, Wednesday
「新しい酒は新しい革袋に」
「新しい酒は新しい革袋に」
これは、新訳聖書からとった句である。 ヨハネの弟子たちとファリサイ派の人々は、断食していた。そこで、人々はイエスのところに来て言った。「ヨハネの弟子たちとファリサイ派の弟子たちは断食しているのに、あなたの弟子たちは断食しないのですか」。イエスは言われた。「(中略)。また、だれも新しいぶどう酒を古い革袋にいれたりはしない。そんなことをすれば、ぶどう酒は革袋を破り、ぶどう酒も革袋もだめになる。新しいぶどう酒は、新しい革袋に入れるものだ」(マルコによる福音書)これは、新しいものと古いものは両立しえないことだということを教えるたとえ話だとされている。しかし、見落としてしまいがちだが、新しいぶどう酒を古い革袋に入れると、本当に革袋は破れてしまうのか。たしかにあまりにも古い革袋だと破れるだろうが、そんな袋は古いぶどう酒を入れても破れるだろう。「新しい酒は新しい革袋にいれたほうがよい」くらいならわかるが、たとえしては少し大げさすぎるのである。なぜ、こんな大げさなたとえをイエスはしたのか。 加藤隆『『新訳聖書』の「たとえ」を解く』(ちくま新書・740円) 新訳聖書にはたくさんの「たとえ」がでてくる。その謎を解いた本である。聖書の謎として読んでもよいが、「比喩」論、「隠喩」論として読んでも面白い。 |
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